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牝馬三冠レースにて、もっとも着差を付けた三冠牝馬とは?

牝馬三冠の進化とその背景


牝馬のイメージ画像1

皆さんは、これまでに三冠を達成した牝馬は何頭いるかご存知でしょうか?
実は7頭と牡馬の8頭と比べ、ほとんど変わりがありません。
しかし、強い牝馬が誕生し始めたのは2000年以降です。
それまでは牡馬5頭に対し、牝馬は初代三冠牝馬に輝いたメジロラモーヌのただ1頭だけでした。

では、なぜ急に強い牝馬が誕生し始めたのでしょうか。

これには、いくつか諸説がありますが、1つは調教技術の進歩、配合飼料が格段に進歩したことで牡馬と同等の調教を行えるようになったことが要因といわれています。

また、牝馬の発情も現代では、ホルモン剤を打つことでコントロールできるようになっていることも要因に含まれるでしょう。

そして、もう1つが馬場の変化だといわれています。

これは、近年の世界競馬の傾向によりパワーよりキレ、つまりスピードが重要視されたことから、日本の芝の硬度が変更されたことです。
よって、昔に比べパワーが必要ではなくなったことから一般的に馬体重が牡馬よりも軽い牝馬でも対等に戦えるようなったといわれています。
ちなみに牡馬の平均馬体重は480キロですが、牝馬は455キロと、その差は25キロもあります。

少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は、そんな三冠牝馬に輝いた7頭が、牝馬三冠レースで付けた着差を算出しランキング形式でご紹介します。

いったい、どの牝馬がもっとも着差を付けたのか、是非ともお楽しみください。

第7位


アパパネ
(父キングカメハメハ 母ソルティビッド 母父Salt Lake)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1/2馬身 同着 3/4馬身 1 1/4馬身

第7位は、2010年に史上3頭目の三冠牝馬となりましたアパパネです。
アパパネといえば、2歳女王に輝き翌年には三冠牝馬となり、古馬となってからはヴィクトリアマイルを制するなど、長きに渡り女王の座に君臨しました。

そんなアパパネで印象深いのは、何といってもオークスでしょう。
このレースでは、サンテミリオンとゴール前同着という結果でした。これはJRAのG1として初となる1着同着のデッドヒートが成立したのです。

さらに繁殖牝馬としても4番仔のアカイトリノムスメが秋華賞を制し、G1を母仔2代制覇も達成したことで名牝の地位を確立しました。

第6位


デアリングタクト
(父エピファネイア 母デアリングバード 母父キングカメハメハ)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1 1/2馬身 1/2馬身 1 1/4馬身 3 1/4馬身

2020年に史上6頭目で史上初となる無敗の三冠牝馬に輝いたデアリングタクトが第6位でした。
母デアリングバードは1戦0勝で現役を引退しましたが、祖母デアリングハートは現役時代に父系の祖母シーザリオと2005年の桜花賞で対戦しています。

そんな祖母同士がライバル関係にあった血統を持つデアリングタクトは、新馬→エルフィンS(L)→牝馬三冠レースとわずか5戦5勝で牝馬三冠となりました。

しかし、その後は勝つことがなく惜しくも引退。
古馬女王という夢の続きは仔たちに託されましたので、デアリングタクトには良い仔を産んでほしいですね。

第5位


スティルインラブ
(父サンデーサイレンス 母ブラダマンテ 母父Roberto)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1 1/2馬身 1 1/4馬身 3/4馬身 3 1/2馬身

エアグルーヴの初仔アドマイヤグルーヴと死闘を続け、2003年に三冠牝馬となったスティルインラブが第5位でした。
今でも「名手・幸英明騎手といえば、スティルインラブ」といわれるほどの名コンビで17年ぶりの偉業を達成しましたね。
古馬になってからもライバル・アドマイヤグルーヴとの死闘は続き、戦いの続きは母になってからも続くと思われました。

しかし、同馬は繁殖牝馬入り後、牡馬1頭を輩出した後に病で急逝しています。
三冠牝馬の血が残せなかったことが本当に悔やまれますね。

第4位


メジロラモーヌ
(父モガミ 母メジロヒリュウ 母父ネヴァービート)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1 3/4馬身 2 1/2馬身 1/2馬身 4 3/4馬身

第4位は、1986年に史上初となる牝馬三冠を達成したメジロラモーヌです。
この時代には、まだ秋華賞が創設されておらず、エリザベス女王杯が牝馬三冠レースの1つとされていました。
なお、距離も現行の2200メートルではなく、2400メートルで行われていました。
これは牝馬にとってかなり過酷だったのではないかと思われます。

また、メジロラモーヌの凄いところは、これだけではありません。
牝馬三冠レースのトライアルレースもすべて制しています。まさに『完全三冠』といえるのではないでしょうか。

第3位


アーモンドアイ
(父ロードカナロア 母フサイチパンドラ 母父サンデーサイレンス)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1 3/4馬身 2馬身 1 1/2馬身 5 1/4馬身

2018年の牝馬三冠レースにおいて、圧倒的な強さで三冠牝馬に輝いたアーモンドアイが3位となりました。
そんなアーモンドアイといえば、無敗の三冠馬シンボリルドルフやディープインパクトでもなし得ることが出来なかった芝G1 7勝の壁を破り、芝G1通算9勝を挙げた歴史的名牝です。

今思えば、アーモンドアイにとっての牝馬三冠レースは、あくまでも当然の通過点だったのかも知れません。
それほどまでに強く日本歴代最強牝馬の座に就いたといっても過言ではないでしょう。

牝馬のイメージ画像2

第2位


ジェンティルドンナ
(父ディープインパクト 母ドナブリーニ 母父Bertolini)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
1/2馬身 5馬身 ハナ差 5 1/2馬身

2012年に史上4頭目となる三冠牝馬に輝いたジェンティルドンナが第2位でした。

ジェンティルドンナといえば、日本の3歳牝馬として史上初となるジャパンCを制し、さらには翌年のジャパンCを連覇したことも有名ですね。
ちなみにジャパンCを連覇した競走馬は、これまでジェンティルドンナしかいません。

それだけ偉大な記録を持つジェンティルドンナに対して、牝馬三冠レースすべて2着だったヴィルシーナにも準三冠牝馬という勲章を送ってあげたいです。

第1位


リバティアイランド
(父ドゥラメンテ 母ヤンキーローズ 母父All American)

桜花賞 オークス 秋華賞 合計
3/4馬身 6馬身 1馬身 7 3/4馬身

堂々の1位に輝いたのは、まだ記憶に新しい2023年に牝馬三冠を達成したリバティアイランドです。
特に距離が長いのではないかと不安視されていたオークスでは、2着に6馬身差を付けての圧勝劇を披露するほどの強さを見せました。

また、秋華賞では早め先頭に立ち、最後は余裕を残しての完勝でした。
2024年もどんな走りを見せてくれるのか楽しみで仕方ありませんね。

まとめ


牝馬のイメージ画像3

今回は、史上7頭の三冠牝馬が叩き出した着差から、その強さについてお伝えしました。
冒頭でも触れましたが、ここで牝馬が強くなった理由についての考察をもう1つ。

近年、急激に牝馬が強くなったことについて、ネアルコやリボーなど世界の歴史的名馬を生産したフェデリコ・テシオ氏が残した理論の1つに「歴史を振り返ると、どの国でも1つの系統の血が反映すればするほど血の活力が失われ牝馬が強くなる」とあります。
これは、特定の種牡馬が活躍しすぎると最終的には牝馬が活躍するのが、自然の摂理ということでしょうか。

それを現代に置き換えると、ヨーロッパではサドラーズウェルズ系、日本ではサンデーサイレンス系の牝馬が活躍している傾向を指しているかと思います。
そう考えると、サンデーサイレンスが日本で大活躍した時点で牝馬の活躍は約束されていたのかも知れませんね。

いずれにしましても、このように血のドラマが競馬の醍醐味だと改めて実感しましたし、2024年以降も強い牝馬の時代はまだまだ続きそうです。

さて、2024年もリバティアイランドに続いて三冠牝馬が誕生するのでしょうか。是非とも2024年の3歳牝馬戦線に注目したいですね。