世代ナンバーワンと称されながらも、大成しなかった競走馬たち
JRAに所属する競走馬は早くて2歳の6月からデビューを迎えますが、その前に美浦・栗東といったトレーニングセンターにて調教を受けます。
そこで調教課程などから好タイムを出す競走馬に対し、関係者たちは「今年はあの馬が世代ナンバーワンになりそうだ」などと前評判を口にします。
その結果、その競走馬はデビュー前から注目の的となるわけです。
ただし、その評判通り活躍する競走馬もいれば、評判通りにいかなかった競走馬も多数存在します。
そこで今回は、世代ナンバーワンといわれながらも大成できなかった3頭の競走馬について紹介します。
元々は3頭ともトップジョッキーから太鼓判を押された競走馬でしたので、知らなかった方は、ぜひこの機会に知ってください。
「全部これに持っていかれるな」
「距離適性などを抜きにして、能力だけならあの馬が世代ナンバーワンだろう」
と当時のトップジョッキーたちにそう言わしめたのが、芦毛の外国産馬スピードワールドでした。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。
[使用ツール・モデル]
・DALL·E 3
・Firefly
・StableDiffusion
・Juggernaut XL(KandooAI)
スピードワールドは、父Woodman母Gray Tab母の父Zulu Tomという血統で、当時はまだ外国産馬の門戸が開かれていなかった1996年の10月に東京競馬場でデビューしました。
そんなデビュー戦では、前評判通り2着馬に4馬身差を付けての圧勝。早くも”強力な外国産馬”が現れると話題になりました。
続く2戦目は5着に敗れましたが、3歳(当時は4歳表記)になった1997年の京成杯(G3)では、大外枠から少し出遅れたスタートを切るも最後の直線では、軽く流すように2着馬を6馬身突き放し圧巻の快勝をみせます。
冒頭にも触れたように、当時は現在のように外国産馬には出走するレースが限られていましたので、スピードワールドが皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)に出走することは叶いませんでした。
そこで目標とされたのが、NHKマイルカップ(G1)でした。
ところが、捻挫のためこのレースを回避せざるを得なくなり、古馬が相手となる安田記念(G1)に目標を切り替えます。
そこで初の古馬相手ながらも後方3番手から府中の長い直線で一気の末脚を魅せますが、惜しくもタイキブリザードの3着に敗れます。
ただ、上がり3ハロン34秒3はメンバー最速、”負けて強し”の内容だったのです。
そして、このレースで別の競走馬に騎乗していたレジェンド・武豊騎手はスピードワールドの走りを後ろから見て「来年の短距離、中距離レースは全部これに持っていかれるな」と思ったそうです。
しかし、スピードワールドが、この先1度も勝利することはありませんでした。
その原因は、慢性的な爪の弱さにあったといわれていますが、当時のトップジョッキーたちにも認められ、レジェンドにそこまで言わせるだけの逸材であったことは間違いありません。
こうして”芦毛の怪物”となるべくスピードワールドは”芦毛の怪物候補”のまま終わってしまったのです。
「来年のダービーも騎乗の予約をしておきます」
とデビュー前からクリストフ・ルメール騎手に言わせたのが、2019年2月にノーザンファームにて産声を上げたコマンドラインです。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。
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そんなコマンドラインの血統背景ですが、父は言わずと知れたディープインパクト、母のコンドコマンドは、2歳時にスピナウェイステークス(米G1)で13馬身1/4差圧勝を決め、翌年のケンタッキーオークスでは2番人気(結果は9着)に支持されたほどの名牝でした。
また、全兄には、東京スポーツ杯2歳ステークス(G3)にて2着に入るなど、2歳時から活躍したアルジャンナがいます。
これだけの良血馬が、2歳6月の東京競馬場でのデビュー戦に向けて順調に調整されていれば、注目を集めるのは当然でした。
実はこの時、コマンドラインが出走予定だった第3回東京競馬場の開幕週の2歳新馬戦は、単なる新馬戦ではなく、いわば世代の“ポールポジション”的な扱いを受けたレースでした。
それは、過去にグランアレグリアやサリオスといった後のG1馬が数多く誕生したレースだからです。
そんな東京競馬場開幕週の芝1600メートルの2歳新馬戦に対して、コマンドラインを管理した美浦の国枝栄調教師は
「“登竜門記念”とかのレース名をつけてもいいな」
とユーモアを交えながらもコマンドラインに先の2頭のG1馬に匹敵する資質があることを示唆しました。
そしてそのことを裏付けるかのように、5月中旬に行われた調教ではまだ新馬戦に向けての2週前追い切りという段階でありながら、当時オープン馬だったサトノフラッグに食らい付いて併入に持ち込んでみせたのです。
また、ウッドチップコースの走破タイムが、5ハロン66秒9、ラスト1ハロンが11秒9と、まさに“本物”を証明した瞬間でもありました。
そんなコマンドラインは、単勝1.1倍の圧倒的人気を背負い”登竜門記念”を快勝し、続くサウジアラビアRC(G3)でも後の秋華賞馬スタニングローズらを子供扱いにする勝利をみせます。
その強さから、次走のホープフルステークス(G1)でも1番人気に支持されました。しかし、ここではキラーアビリティの12着に大敗してしまいます。
年が明けると、日本ダービーを予約したはずのルメール騎手はクラシックシーズンに跨ることなく、結局コマンドラインはクラシックに参戦できませんでした。
再びルメール騎手が騎乗したのは、6戦目となるキャピタルステークス(L)でしたが、ここでも18頭中18着と大敗。
その後、怪我の影響もあり長期休養に入り、去勢後には障害戦へと主戦場を移します。
しかし、障害デビュー戦では、途中逸脱のため競走中止となり、そのまま引退となりました。
世界的名手に日本ダービーまで予約されたほどの逸材だったコマンドライン。
いったい、どこでその才能の芽を閉じてしまったのか、それはコマンドライン自身にしか分かりません。
2006年暮れの有馬記念にて、多くの競馬ファンに”飛ぶ姿”を披露し、有終の美を飾った日本近代競馬の結晶ディープインパクト。
そのディープインパクトがいなくなった翌2007年の1月に早くもレジェンド・武豊騎手に「この馬も飛べる逸材」と言わしめたのが、オーシャンエイプスでした。
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オーシャンエイプスは、父が天皇賞(春)などのG1レースを4勝挙げたマヤノトップガンで母リターンキャスト、その父はノーザンテーストといった血統でした。
さらに母の半弟には、2004年のセントウルステークス(G3)を勝利したゴールデンキャストがおり、デビュー前からそれなりの評判を受けていました。
2007年の1月に京都競馬場にてデビュー戦を迎え、結果的には、鞍上の武豊騎手が後ろを何度も振り返るほどの余裕をみせ、2着馬に8馬身差を付けての快勝劇が”それなり”から高評価へと変わりました。
レジェンドが「飛ぶ逸材」と評したオーシャンエイプスは、早くもディープの再来か?との期待が高まっていきます。
そして、迎えた次走のきさらぎ賞(G1)でも単勝オッズ1.3倍という断然の1番人気に支持されレースに挑みました。
しかし、最後の直線に入ると”飛ぶ”いや”飛べる”はずだったオーシャンエイプスの脚色は悪く、のちの菊花賞馬アサクサキングスの4着に敗れてしまいます。
その後、何とかクラシックに出走するため、条件戦や日本ダービートライアル青葉賞(G2)に出走しますが、結果が出ません。
それでも新馬戦から8戦目となったウェルカムステークス(3勝クラス)まで全て1番人気だったことが、オーシャンエイプスに対する期待の表れだったといえるでしょう。
そして、10戦目となったオープンクラスのオーストラリアトロフィーにて1着となり、何とかオープン入りを果たしますが、結果的にはこれが最後の勝利となります。
それでも安田記念(G1)に出走するなどの活躍をみせましたが、もっとも成長期を迎えた時期に故障のため長期休養を余儀なくされたことが、オーシャンエイプスにとって運の尽きだったのかも知れません。
衝撃のデビュー戦から「飛ぶ逸材」といわれ、最終的には、8歳半ばまで走り続けたオーシャンエイプス。
しかし、競馬ファンが最後まで、その”飛ぶ姿”をみることはありませんでした。
今回は、世代ナンバーワンといわれながらも大成しなかった3頭の競走馬たちについて紹介しました。
3頭とも何かの拍子で本来持っている能力を発揮できず、終わってしまった感は否めません。
また、肖像権・パブリシティ権に配慮し、特定の人物に類似させるための学習データ使用やプロンプト調整等はおこなっておりません。
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それだけにとても残念ではありますが、その衝撃的な走りは今もなお競馬ファンの心に焼き付いているに違いありません。